バチカンで行われたヨハネ・パウロ2世の葬儀には世界中から要人が集まり、400万人もの人々でバチカンが埋め尽くされた。このポーランド人のローマ法王は、何よりもバチカンから外に出て果敢な行動をしたことが評価されている。それは、特に欧州中の人が、ローマ法王が冷戦を終わらせたことに一役買ったことを評価していることに他ならない。ポーランドがワレサ「連帯」委員長の下で民主化への道を歩み始めた時、ヨハネ・パウロ2世はワルシャワを68年のプラハにしてはならないと堅く決意した。そういう意味で彼はポーランドの愛国者でもあったわけだが、日本の報道で、冷戦終結に果たした彼の反共産主義的姿勢をどこまで客観的に言及していたのだろうか? と同時に、台湾総統が法王葬儀出席へ イタリアがビザ発給に同意という重要なニュースに目を向けなければならない。

同じ4月8日、もう一人の法王が来日した。チベット亡命政府の最高指導者、ダライ・ラマ法王が来日したのだ。ところが、日本メディアは黙殺した。記事を配信した共同はまともだが、どこの紙面に載ったのだろうか? 夕刊の無い産経は、明日には掲載されるかもしれないが、テレビは完全に黙殺した。
ここまで日本メディアは情報統制されているという証拠だ。支那と国交があっても、西側先進国にダライ・ラマ法王が訪問すれば、トップニュースになるのが常識だ。にもかかわらず、日本メディアだけでなく日本政府や外務省も、支那の共産党の情報管制下にあるのだろうか? 日支関係が緊張しているとは言え異常である。ノーベル平和賞受賞者としても、ダライ・ラマ法王は混沌とする東アジア情勢に与える影響力は大きい。そんな人物の来日をまもとにニュースにできないメディアはどこまで腐っているのだろうか? 支那が抗議でもすれば記事なるのか? 来日直後、ダライ・ラマは桜満開の明治神宮に参拝した。この事実を伝えたくないメディアがあるのか? 9日には両国国技館で講演を行うが、チケットは完売している。次回の来日では、平和の使途として是非2回目の靖国参拝をしていただきたい。アジアの平和を祈る最適の場所だからだ。スケジュールはダライ・ラマ法王日本代表部事務所のこのページで確認できる。法王に靖国参拝をしていただく要望メールを出して欲しい。

さて、6日にマスコミ向け試写を観た「戦国自衛隊1549」だが、間違いなく傑作だ。半村良の原作は見る影も無いが、福井晴敏の「戦国自衛隊」として21世紀の平成日本に美事に蘇った。日本でも、やっと本格的なエンターテイメント映画が作れるようになった、と拍手を送りたい。もちろん、ディテールには欠陥もある。詳しく書くとネタバレになるので書かないが、斉藤道三の家臣が富士の裾野にいたという矛盾がある。ただ、それでもディテールの欠陥や脚本も、「ローレライ」より破綻は遥かに少ない。ヒットしている「ローレライ」があれだけの欠陥を多く抱えているのだから(落ちたボールを捕ろうとして手を挟まれて殉職するシーンや、退艦者を募ると30%以上の乗組員が艦を降りるという、帝国海軍を馬鹿にするとんでもない場面)、「戦国自衛隊1549」は大ヒットするだろう。
感慨深いのは、退官自衛官の江口洋介が元特殊部隊「Fユニット」の隊員だったという設定だ。「Fユニット」は先制攻撃も辞さないという任務を遂行する、選りすぐりの精鋭を集めた特殊部隊。だが、「Fユニット」は時期尚早ということで解散を命じられ、失望した江口は自衛官を辞めた。この設定で、すでに映画が <現実> をしっかり捕捉しているのに、リアルな現実の方が <現実> から遅れているという倒錯した平成日本を浮き彫りにしてくれる。
北朝鮮基地の攻撃、防衛庁が94年に研究 長官認めるという無意味な記事が掲載されるメディアが、どれだけ時代からズレた滑稽なものであるかを、この映画は文脈のリアリティで哄笑してくれる。それは制作者の意図の範囲外で起きる現象で、さらに言えば、この映画の存在そのものが、マスコミ9条の会を設立という時代錯誤をアプリオリに否定してくれる。

「戦国自衛隊1549」のPHOTO(C)2005「戦国自衛隊1549」製作委員会」