
この記事にあるAPのテレビニュースでも、団員が冷戦時にモスクワに飛びチャイコフスキーコンクールで優勝したヴァン・クライバーンの例を挙げ、平和に貢献する演奏会になるとインタビューに答えている。
だが、本当にそうなのか? 昨年夏にニューヨークフィルに届いた北朝鮮からの招待状は、金正日独裁政権のプロパガンダに協力を要請する文書に過ぎないのではないか?
呆れたことに、このLAタイムズの記事で、ローリン・マゼールは「ガンタノモ捕虜収容所の虐待が伝えられる米国が、北朝鮮の20万人の強制収容所の人権問題を非難するべきではない」と言っている。
米国のリベラルにもこんなお花畑がいることに驚愕するが、マゼールはリベラルでなく日本の贋リベラルと同質である。ガンタナモ収容所と北朝鮮の強制収容所を比べること自体お門違いで、金正日の毒牙に掛かったとしか言えない恥ずべき発言だ。
ニューヨークフィルは第二次大戦後、フルトベングラーの常任指揮者者就任を拒否したことがある。トスカニーニの自らの後任にという推薦を、ナチスに協力したからからと言って拒否したのだ。この時点で大いなる勘違いをしたニューヨークフィルが、今度は60年後にまた大きな錯誤を犯したのだ。マゼールとNYフィルが平壌に飛び、しかも最初に北朝鮮国歌を演奏するということは、金正日独裁体制を支援することに他ならない。
フルトベングラーの指揮者就任を拒んだのなら、NYフィルは平壌入りを拒むべきだったのではないだろうか? しかも、フルベンを拒否する理由に正当性はないが、平壌で独裁政権のプロパガンダに加担することの方が遥かに悪質だ。
スポーツや音楽を、とにかく政治やプロパガンダの道具にしてはいけない。

※本日、発売の「WiLL」4月号に人権擁護法案反対の意見広告が掲載されています。なお、この広告は2月22日の産経新聞に掲載されましたが、今週発売の「週刊新潮」「週刊文春」にも掲載される予定です。
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ブッシュやコキントウ・・・キッシンジャー等の意思は、動いてはいないのだろうか。
日本政府は、此の動きの意味を、正確に掴んでいるのであろうか。心配だ。