海外初の試みなので期待したいが、場所がマンハッタンの日本クラブなのが残念。普通の日本人なら滅多に行かない場所で、つまり、ごく一般のニューヨーカーなら足を踏み入れない場所だ。せっかくの今回の機会を活かして、デパート、ショッピングモールや、企業ホールのギャラリーなどでの開催に発展して行ってもらいたい。
あまたの日本企業がNYに駐在するのだから、積極的に民間によるパブリックディプロマシーを広めてもらいたい。この点だけは、日本は圧倒的に特定アジアの三カ国に能力が劣っていると言わざるを得ないのだから・・・・。なお、横田早紀江さんの最新インタビューが撃論ムック「教科書が教えない日本被害史・拉致と侵略の真実」に収録されている。
産経新聞の3月2日(日)付け書評欄に以下の書評を寄稿した。掲載原稿は文字数関係で若干短くなっている。この本が一人でも多くの人に、特に若年層に読まれて欲しいと希っている。
書評「めぐみへ 横田早紀江 母の言葉」(草思社刊)めぐみへ 横田早紀江 母の言葉」
真実を射抜く言葉に、誰が応える?
「言葉は力」という某新聞社の広告があった。しかし、皮肉なことに、某新聞社のどの論説文の「言葉」より、本書に込められた「言葉」の方がそのフレーズを実感させてくれる。小泉訪朝以来六年間、横田早紀江さんが拉致被害者家族の当事者として様々な場面で残した三十七の言葉が綴られている。
確かに「言葉は力」なのだが、当事者が苛酷な現実と向かい合って、傷つき、闘いながら、それでも心の底からふり絞って発せられた言葉ほど、リアリティのあるものはない。しかも、それがわが娘の安否を気に病み、ただただ無事を希う想いを「言葉」にしたものであるから、そこにはいかなる虚飾も、思想も入り込む余地はない。だからこそ、これまで多くの人の心を動かし、拉致被害者救出活動への関心を向け、実際に多くの人々に行動を促してきたのである。
早紀江さんと最近お会いしたとき、本書にも収録されている小泉訪朝直後の記者会見で述べた言葉についてお訊きした。その言葉は恐らく将来、日本を変えた歴史的な言葉として語り継がれるだろうが、早紀江さんはこう答えてくれた。
「私はただ、経験して思っていることを言ってるだけで、何を言っているのか分からないし、何を言ったのか憶えていないんですよ。大したことないのに、残しておいたほうがいいですよ、と言われて本にしたんです」
突如失踪したわが娘を探し続けて二十年、失踪が北朝鮮による拉致であることが分かって十年、娘の無事を希うその三十年間の想いは、家族を含めたあらゆる人間関係が崩壊しつつある現在の日本だからこそ、類稀な「言葉」として「力」を与えられる。しかも、そんな家族の気持ちを踏みにじり、圧殺し、拉致を隠蔽し続けてきた勢力が根を張る、わが国の現状を透視してくれる。写真も多く読みやすい。家族へのプレゼントや多くの中高生に読んでもらいたい。

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